大規模災害への対応について
令和6年能登半島地震 文化財等救援活動について
【能登半島地震・文化財レスキューの記録】(特集展示)
~七尾市のと里山里海ミュージアム、能登町立美術館、羽咋市歴史民俗資料館の活動報告より~
令和6年1月1日の能登半島地震発災後、日本博物館協会が参画する、文化庁の被災文化財等救援事業の中で、能登地方の現地自治体の救援活動のうち、七尾市、能登町、羽咋市における文化財レスキューの成果による企画展示の取組みについて活動報告がありましたので、ここにご紹介いたします。
今回は、文化財レスキューの目的と成果、先人から受け継いだ文化財を後世に伝える意義を市民・町民に知ってもらうための取り組みについて紹介します。
七尾市のと里山里海ミュージアムでは、6/29(土)~9/30(月)まで、「時代(とき)の記録-眠れるモノたちの囁(ささや)き-」と題した企画展が開催されています。能登半島地震で被災した金刀比羅神社の棟札(むなふだ)はじめ、市内の建造物から見つかった文化財が展示され、救出の様子も再現されています。
七尾市のと里山里海ミュージアム 【企画展】「時代の記録-眠れるモノたちの囁き-」
能登町立美術館では、7/9(火)~9/29(日)「救出された地域の歴史・文化資料」展がはじまっています。あたらしくみつかった犬養毅の書はじめ、12点の救出文化財が展示され、解説されています。なお、同町教育委員会が令和6年(2024)4月5日から発行している「能登町文化財レスキューニュース」は、すでに第7号を数えています。
「能登町文化財レスキューNews」第7号 令和6年6月1日発行 (左側:表面 / 右側:裏面)
また、羽咋市歴史民俗資料館でも、スペースを割いて、「救出された地域の文化財」と題した同趣旨の展示会が開催中です。
羽咋市歴史民俗資料館 「救出された地域の文化財」
このように、能登地方では、能登半島地震による文化財救援事業開始から半年も経ないうちに、被災自治体による、その成果と意義を還流する企画が始まっており、将来に希望をつなぐ、おおきな取り組みであることを実感しております。
(石川考古学研究会副会長 河村好光氏による 文化財防災センター週次報告(2024.7.22)より改編して掲載)