会長あいさつ
日本には総合博物館のほか、郷土、美術、歴史、自然史、理工系の博物館、動物園、水族館、植物園など、様々な種類があり、その数は4500館を超えるとされています。それぞれの館の特色を活かした活動によって、子どもから大人まで、幅広い年齢層の人々が、ものを介して楽しく学ぶとともに、その資料を守り伝えた先人たちの営みを思い、宇宙や地球・生命の壮大な物語に触れることで、心の豊かさを得ることができます。博物館は今日の社会において大切な役割を果たしていると言えるでしょう。
博物館に対する社会の期待は、従来に増して高まっています。令和4年に博物館法が改正され、博物館の役割として従来の資料の収集・保管、展示・教育、調査・研究という基本的な機能にとどまらず、文化、観光、まちづくりなどに貢献するよう努めることが加わりました。国内だけでなく、国際的にも、ICOM(国際博物館会議)の博物館定義も改訂され、ICOM京都大会で提案された「文化のハブとしての博物館」の役割も期待されているところです。また、新型コロナウイルスによるパンデミック後の新たな博物館のあり方も模索されています。
日本博物館協会は昭和3(1928)年に博物館事業促進会として発足以来、様々な博物館の活動を横断的に支援する中核機関として活動して参りました。博物館に新たな期待が寄せられている中で、各館の努力と営為が実り、博物館全体が将来にわたって活き活きと活動を展開していけるよう、これからも協会の機能の充実に努めて参ります。国や自治体の博物館に対する動向を各館に伝える一方、各館の状況や課題を把握し、行政や設置者に的確に訴えるとともに、改善に向けての調査研究、機関紙『博物館研究』の刊行、博物館職員の研修、全国博物館大会の開催など、多様な活動を介して、博物館相互の課題や情報の共有を図り、博物館を取り巻く良好な環境づくりに努めます。
日本博物館協会の活動につきまして、趣旨をご理解賜り、積極的にご参加、ご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。